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福岡高等裁判所 昭和43年(行コ)11号 判決 1970年2月26日

熊本県八代郡宮原町宮原村五二八番地

控訴人

宮原製氷株式会社

右代表者代表取締役

中川精喜

右訴訟代理人弁護士

藪下晴治

同県八代市花園町一六番地の二

被控訴人

八代税務署長

青木勉

右指定代理人

川井重男

中島享

三宅克己

田川修

右当事者間の課税処分取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は「原判決中、昭和三二年一一月一日から同三五年一〇月三一日までの三事業年度の法人税などに関する更正処分及び重加算税の賦課処分の取消請求に関する部分を次のとおり変更する。被控訴人が昭和三八年一二月二七日付でなした控訴人の自昭和三二年一一月一日至同三三年一〇月三一日事業年度、自昭和三三年一一月一日至同三四年一〇月三一日事業年度、及び自昭和三四年一一月一日至同三五年一〇月三一日事業年度分の法人税額などに関する更正処分及び重加算税の賦課処分はこれを取消す。訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は主文と同旨の判決を求めた。

当事者双方の主張立証の関係は、控訴人において新たに甲第二二ないし二五号証を提出し、当審証人村田秀敏、同奥村末人、同村上敏則、同亀沢武磨、同星田境の各証言及び当審における控訴会社代表者中川精喜尋問の結果を授用し、後記乙号各証の成立を認めると述べ、被控訴人において新たに乙第八〇、八一号証の各一ないし四を提出し、右甲号各証の成立は不知、と述べたほかは原判決事実摘示と同一であるからこれを引用する。

理由

当裁判所も原審と同様、控訴人の本訴請求中法人税などに関する更正処分及び重加算税の賦課処分の取消請求部分につき、原審認容の限度において右請求を正当として認容し、その余を失当として棄却すべきものと判断する。そしてその理由は左のとおり付加、訂正するほか原判決の示すところと同一であるからこれを引用する。

一、(一) 原判決二〇枚目裏二行目「R〇〇四七一八」とあるを「R〇〇四七一九」と、同二一枚目表一行目「五万円」とあるを「五〇万円」と各訂正し、

(二) 同二六枚目八行目「そして、、、」以下同枚目裏四行目末尾までを「そして、右推計をするについては、別口預金からの預け替え等売上金以外の預入れと認められるものを除外することは勿論、更に、右預金からの払出し金額のうち、明らかに資産化されたもの又は個人で消費されたものを除き、使途不明の分について、その払出しの日に接着する後日にこれに見合うような預入れをしている金額がある場合には、右預入れ金額の全部又は一部が右先行する払出し分によつて再び預入れられたものとみて、これを除外し(以上のように除外する分は、いわゆる交流分と称される)、当該預入金額の全部又は一部を売上金で預入れられたものとみないで推計、計算することも、所得を過大に推計する誤りを避けようとする考え方にもとづくもので、合理性のある方法と認められるし被課税者にとつても利益にこそなれ不利益となるものではないから、かかる推計方法をとることは許されるというべきである。」と改め、

(三) 同二八枚目裏三行目「氷かん式」とあるを「フエーリング式冷却管」と訂正し

(四) 同二九枚目表末行の次に「この点に関し、原告は、第二事業年度における原告の氷の生産設備である結氷管は一〇八本実動一〇二本に過ぎなかつた旨主張するけれども、右主張に副う証人星田境、同富田弘光、同中川昭憲、同中川精喜の各供述部分は、右認定の結氷管の累計本数や銀行に対する申告内容に照らしてたやすく信用できず、他に該事業年度における原告の結氷管が実動一〇二本に過ぎなかつたことを確認するに足る証拠もないので、結氷管が実動一〇二本であつたことを前提とする原告の売上金額についての主張は採用しがたい。」との判断を付加し、

(五) 同三一枚目表九行目「四万〇、二六〇円」とあるを「四万〇、二六一円」と訂正する。

二、当審において提出された成立に争いない乙第八〇、八一号証の各一ないし四、当審証人亀沢武磨の証言は以上の認定を補強するものであり、これに反する当審証人村田秀敏、同星田境の各証言部分及び当審における控訴会社代表者中川精喜本人尋問の結果はにわかに措信しがたく、他に以上の認定を左右するに足る証拠はない。

よつて、原判決は正当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 亀川清 裁判官 蓑田速夫 裁判官 柴田和夫)

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